仮想ステートマシン：アルゴランド仮想マシンとイーサリアム仮想マシンの比較
by Nikhil Varma
ブロックチェーンにおける仮想ステートマシンとは、アルゴランド仮想マシンやイーサリアム仮想マシンなどの仮想マシンを用いて、ブロックチェーン・ネットワーク上でスマートコントラクトを実行することを指します。仮想ステートマシンは、仮想マシン上で動作し、ブロックチェーン上に格納されているすべての変数の現在値など、ブロックチェーンの現在の状態を維持するプログラムです。ブロックチェーンにトランザクションが送信されると、仮想ステートマシンは対応するスマートコントラクトを実行し、それに応じてブロックチェーンの状態を更新します。
仮想ステートマシンは、分散型アプリケーション（dApps）やその他のブロックチェーンベースのソリューションの構築に使用できる複雑で強力なスマートコントラクトの実行を可能にするため、多くのブロックチェーンネットワークの重要な部分となっています。仮想ステートマシンを使用することで、開発者はブロックチェーンに保存されたデータと対話し、操作できるスマートコントラクトを作成でき、幅広いユースケースとアプリケーションを実現できます。
開発者にとって効果的で有用であるためには、優れた仮想ステートマシンが持つべき特性がいくつかあります。優れた仮想ステートマシンの主な特性には、以下のようなものがあります。
スケーラビリティ（拡張性）：優れた仮想ステートマシンは、ブロックチェーン・ネットワーク全体のパフォーマンスを低下させることなく、大量のトランザクションを処理し、スマートコントラクトを効率的に実行できる必要があります。
柔軟性：優れた仮想ステートマシンは、幅広いプログラミング言語と開発フレームワークをサポートできる柔軟性を備えている必要があり、開発者がブロックチェーン上でスマートコントラクトを簡単に記述・展開できるようにする必要があります。
セキュリティ：優れた仮想ステートマシンは、ハッキングやその他の種類の悪意ある攻撃に対して安全で抵抗力がなければなりません。また、ブロックチェーン上に保存されたデータや資産を保護するための強固なセキュリティ対策が施されている必要があります。
パフォーマンス：優れた仮想ステートマシンは、スマートコントラクトを迅速かつ効率的に実行でき、取引がタイムリーに処理され、ブロックチェーン・ネットワークが円滑に動作することを保証する必要があります。
互換性：優れた仮想ステートマシンは、他のブロックチェーン・ネットワークやプロトコルと互換性があり、開発者がスマートコントラクトを他のブロックチェーン・ベースのシステムやアプリケーションに容易に統合できる必要があります。
ユーザーフレンドリー：優れた仮想ステートマシンは、開発者が迅速かつ効率的に作業を開始できるよう、明確なドキュメントとサポート・リソースを備え、使用と理解が容易であるべきです。
アルゴランド仮想マシンとイーサリアム仮想マシンは、どちらもそれぞれのブロックチェーン・ネットワーク上でスマートコントラクトを実行するために使用される仮想マシンです。しかし、両者にはいくつかの重要な違いがあります。
まず、アルゴランド仮想マシンはプログラミング言語「Wasm（WebAssembly）」の改良版を使用していますが、イーサリアム仮想マシンは「Solidity」という独自の言語を使っています。つまり、C、C++、Rustといった言語に慣れている開発者であれば、アルゴランド仮想マシン用のスマートコントラクトを書きやすく、JavaScriptに慣れている開発者であれば、イーサリアム仮想マシン用のスマートコントラクトを書きやすくなる可能性があるのです。アルゴランドのスマートコントラクトは、PyTealを使用してデプロイすることができます。これは高水準で使い勝手の良い言語であり、幅広い経歴と経験レベルの開発者が利用できるように設計されています。PyTealは、シンプルさと読みやすさで知られるPythonプログラミング言語をベースにしており、アルゴランド・ブロックチェーンでの使用に特化した多くの機能を備えています。
第二に、アルゴランドの仮想マシンは、イーサリアムの仮想マシンよりもスケーラブルで効率的な設計になっています。アルゴランド・ブロックチェーンは、PPoS（Pure Proof of Stake）という独自の合意メカニズムを採用しており、PoW（Proof of Work）という合意メカニズムを採用するイーサリアム・ブロックチェーンよりも、取引処理とスマートコントラクト実行を高速かつ効率的に行うことができます。しかし最近、イーサリアムは、ユーザーが意思決定プロセスに参加し報酬を得るために、トークンやコインをステークするPoS（Proof of Stake）合意メカニズムに移行しています。これにより効率性は向上しましたが、ピュア・プルーフ・オブ・ステーク（PPoS）システムは、一般に、ユーザーが選ばれる確率が追加要素ではなく、ステークしたトークンの量のみで決まるため、他のPoSシステムより分散性が高く、攻撃にも強いとされています。
第三に、アルゴランド仮想マシンとイーサリアム仮想マシンは、異なる機能セットと能力を有しています。例えば、アルゴランド仮想マシンは、現在イーサリアム仮想マシンがサポートしていないアトミック転送やスマートコントラクトのアップグレード可能性をサポートしています。これは、開発者がイーサリアム仮想マシンよりもアルゴランド仮想マシン上でより高度で複雑なアプリケーションを構築できることを意味します。
全体として、アルゴランド仮想マシンとイーサリアム仮想マシンは似ている部分もありますが、プログラミング言語やスケーラビリティ、機能面では大きな違いがあります。
元記事：https://medium.com/@niikkhhiil/virtual-state-machines-comparing-algorand-virtual-machine-and-ethereum-virtual-machine-a83656ffe0fe