ウォレットとアプリ間の認証通信
Web3ウォレットとは?その仕組みは?
Web3とは、インターネットの最新フェーズのことです。Web3は自己主権とインクルージョン(包摂:誰もが自由に参画できる)を中心とし、ユーザーが自分のデータとデジタル資産の所有権を持つことを可能にします。Web3には分散型ブロックチェーン技術が組み込まれており、インターネットを利用するユーザーに安全性と透明性をもたらすことを目的としています。ここで中心的な役割を果たすのがWeb3ウォレットで、そこには秘密鍵が保管され、プラーベートで自己保管する形で暗号通貨やNFTのようなブロックチェーン・ベースの資産にアクセスし、管理することができます。
この記事では、Web3ウォレットとは何かについて深く掘り下げ、その進化、主な特徴、種類、セキュリティ上の注意点を探ります。最後には、分散型ウェブにおいてWeb3ウォレットが果たす役割について理解を深めていただけることでしょう。
<目次>
1. Web3ウォレットを理解する
1) デジタル・ウォレットの進化
2) Web3ウォレットとは?
3) Web3ウォレットの主な機能
2. Web3ウォレットの仕組み
1) 秘密鍵の作成と管理
2) ブロックチェーン・ネットワークとのやり取り
3) トランザクションとスマートコントラクトの促進
3. Web3ウォレットの種類
1) ブラウザ・ベースのウォレット
2) モバイル・ウォレット
3) ハードウェア・ウォレット
4) デスクトップ・ウォレット
4. Web3ウォレットのセキュリティに関する考察
1) 秘密鍵の保護
2) ウォレットのバックアップと復元
3) 詐欺の見分け方と回避方法
5. Web3ウォレット導入における摩擦
6. 分散型ウェブにおけるWeb3ウォレットの役割
1. Web3ウォレットを理解する
1) デジタル・ウォレットの進化
デジタル・ウォレットは長い間存在しており、様々な形態があります。Web1ウォレットと呼ばれる第一世代のデジタル・ウォレットはシンプルで、主にオンライン・ショッピングの決済情報を保存するために使われていました。Web2の登場により、デジタル・ウォレットはより洗練され、ユーザーはポイント、ギフトカード、搭乗券など、より幅広いデジタル資産を保存・管理できるようになりました。しかし、これらのウォレットは依然として中央集権的であり、単一の事業体がユーザー情報を預かっていました。
ブロックチェーン技術と暗号通貨の台頭により、デジタル・ウォレットはその機能を進化させました。以前のデジタル・ウォレットとは対照的に、ユーザーは自分のデジタル・ウォレットと資産を完全に自分で管理することを選択でき、仲介者を必要としない安全なピア・ツー・ピアの取引が可能になりました。
2) Web3ウォレットとは?
Web3ウォレットの核心は、ブロックチェーン・ネットワークへのアクセスや取引に必要な秘密鍵を保管するソフトウェア・プログラムです。物理的な通貨を保管する従来のウォレットとは異なり、Web3ウォレットはビットコイン、アルゴランド、NFTなどのデジタル資産を保管します。
すべてのWeb3ウォレットは秘密鍵を保管しますが、その方法は異なることに注意することが重要です。Peraウォレットのような自己保管(セルフ・カストディアル)型(または非保管型:ノン・カストディアル)ウォレットは、自分自身で秘密鍵を所有し管理するため、資金を完全に管理することができます。本質的に、あなたがあなた自身の銀行なのです。Web3ウォレットはあなたの秘密鍵を保管します。ウォレット発行者はあなたの鍵を見ることはできません。一方、いくつかのWeb3ウォレットはカストディアルであり、取引所のような第三者があなたに代わって秘密鍵を管理します。この利点は利便性ですが、カストディアン(管理者)を完全に信頼する必要があります。Web3ウォレットはユーザーフレンドリーでアクセスしやすいように設計されており、専門的な知識がなくても誰でもブロックチェーン・ネットワークにアクセスすることができます。
3) Web3ウォレットの主な機能
Web3ウォレットには、ブロックチェーン・ネットワークとやり取りするための貴重なツールとなる様々な機能が搭載されています。主な機能には次のようなものがあります:
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ピア・ツー・ピア:Web3ウォレットでは、銀行や決済プラットフォームのような仲介者を介さずに、ブロックチェーン・ネットワークを通じて、あるウォレットから別のウォレットへ送金することができます。
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複数のアセット:Web3ウォレットは様々なブロックチェーン・ネットワークやアプリケーションで利用できるため、暗号通貨やNFTなどの複数のデジタル・アセットを、異なるウォレット間で切り替えることなく、単一のインターフェースから簡単に管理できます。
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セキュリティ:Web3ウォレットは強力な暗号化を使用して、ハッカーやその他の第三者の脅威から秘密鍵を保護します。
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相互運用性:Web3ウォレットは他のWeb3アプリケーションと相互運用できるため、ユーザーは分散型取引所、マーケットプレイス、その他のブロックチェーン・ベースのアプリケーションと簡単にやり取りできます。
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プライバシー:Web3ウォレットは第三者プロバイダーと個人情報を共有する必要がありません。自分のデジタル・アセットや個人データは自分で管理できます。
2. Web3ウォレットの仕組み
ブロックチェーンや暗号通貨に興味を持つ人が増えるにつれ、Web3ウォレットの人気が高まっています。これらのウォレットは、秘密鍵を安全に保管し、ブロックチェーン・ネットワークとやり取りするように設計されています。
1) 秘密鍵の作成と管理
Web3ウォレットの最も重要な側面の1つは、秘密鍵を安全に保管する機能です。これらの鍵は複雑な数学的アルゴリズムを使用して生成され、ブロックチェーン・ネットワーク上のトランザクションに署名するために使用されます。ユーザーがWeb3ウォレットを作成すると、ウォレットは公開鍵と秘密鍵のペアを生成します。公開鍵はトランザクションを受信するために使用され、秘密鍵はトランザクションに署名し、デジタル・アセットの所有権を確認するために使用されます。鍵にアクセスできる人は誰でも関連するデジタル・アセットにアクセスできるため、ユーザーが秘密鍵を安全かつセキュアに保管することは極めて重要です。
Web3ウォレットは、秘密鍵を保護するために高度な暗号化技術を使用しています。また、ウォレットへの不正アクセスを防ぐため、多要素認証や生体認証などの追加セキュリティ機能を提供しているウォレットもあります。
2) ブロックチェーン・ネットワークとのやり取り
Web3ウォレットがセットアップされ、秘密鍵が生成されると、ブロックチェーン・ネットワークとのやり取りを始めることができます。これにはデジタル・アセットの送受信やスマートコントラクトとのやり取りが含まれます。トランザクションを送信するには、受信者の公開アドレスと送信したい金額を入力するだけです。その後、ウォレットはあなたの秘密鍵を使用してトランザクションに署名し、検証のためにブロックチェーン・ネットワークにそれをブロードキャストします。
Web3ウォレットは、デジタル・アセットを受け取るためにも使用できます。トランザクションを受け取ると、ブロックチェーン・ネットワークにブロードキャストされ、公開台帳に記録されます。その後、あなたのウォレットは新しい残高を反映するために更新されます。
3) トランザクションとスマートコントラクトの促進
デジタル・アセットの送受信に加え、Web3ウォレットはスマートコントラクトとのやり取りも可能です。スマートコントラクトは、契約条件がコードに記述された自己実行型の契約です。Web3ウォレットは、データの送受信、契約実行のトリガー、デジタル・アセットの所有権の確認によって、これらの契約とやり取りすることができます。
スマートコントラクトは、サプライチェーン管理、分散型金融、デジタルIDの検証、資産のトークン化など、多くの潜在的なユースケースを持っています。より多くの業界がブロックチェーン技術の可能性を追求し始めるにつれ、Web3ウォレットの利用はさらに広まるでしょう。
デジタル・アセットを安全に保管するためのウォレットのセキュリティとベストプラクティスに関するガイドをお読みください。
3. Web3ウォレットの種類
Web3ウォレットとは何かについて学んだところで、Web3ウォレットの違いを見てみましょう。Web3ウォレットにはいくつかの種類があり、それぞれにユニークな機能と利点があります。
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ブラウザ・ベースのウォレット
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モバイル・ウォレット
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ハードウェア・ウォレット
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デスクトップ・ウォレット
1) ブラウザ・ベースのウォレット
ブラウザ・ベースのウォレットは、ウェブ・ブラウザからアクセスできるWeb3ウォレットです。これらのウォレットはインストールが不要で、インターネット接続があればどこからでもアクセスできるため、便利に使用することができます。迅速で簡単なトランザクションによく使われますが、フィッシング攻撃などのセキュリティの脆弱性を受けやすい可能性があります。
ブラウザ・ベースのウォレットの利点は、技術的な専門知識があまりない人でもセットアップや使用が簡単なことです。また、二要素認証やパスワード保護など、セキュリティ強化のための機能が搭載されていることも多いです。
2) モバイル・ウォレット
モバイル・ウォレットは、スマートフォンやタブレットにインストールするWeb3ウォレットです。これらのウォレットは、外出先からデジタル・アセットにアクセスしたいユーザーに最適です。多くの場合、生体認証やプッシュ通知などの機能が搭載されており、セキュリティが強化されています。
利便性に加えて、モバイル・ウォレットは高いレベルのセキュリティを提供します。ハッキングやその他の脅威から保護するために、高度なセキュリティ機能で暗号化されていることが多いです。また、一部のモバイル・ウォレットは、秘密鍵やシード・フレーズをバックアップする機能を提供しており、ユーザーはデバイスを紛失したり盗まれたりした場合にアセットを回復することができます。
しかし、モバイル・ウォレットはマルウェアやその他の脅威に対して依然として脆弱である可能性があることに留意することが重要です。モバイル・ウォレットは信頼できるソースからのみダウンロードし、使用すること、またデバイスとウォレット・ソフトウェアを常に最新の状態に保つことをお勧めします。
3) ハードウェア・ウォレット
ハードウェア・ウォレットは、オフラインで秘密鍵を保管する物理的なデバイスであり、デジタル・アセットを保管する最も安全な方法の一つです。これらのウォレットには、PINコードやバックアップ・シードなどの保護機能が付いていることが多いです。デジタル・アセットに最高レベルのセキュリティを求めるユーザーに最適です。
ハードウェア・ウォレットは改ざんができないように設計されており、ハッキングや侵害が簡単にできないようになっています。ハードウェア・ウォレットは、大量のデジタル・アセットの保管や長期保管によく使用されます。
しかし、ハードウェア・ウォレットは他のタイプのWeb3ウォレットよりも高価で、使い勝手が悪い場合があります。アセットにアクセスし管理するためには、コンピュータやモバイル・デバイスに物理的に接続する必要があります。
4) デスクトップ・ウォレット
デスクトップ・ウォレットはコンピュータにインストールされ、デジタル・アセットを安全かつプライベートに保管する方法を提供します。これらのウォレットは、トランザクションやその他のWeb3アクティビティにコンピュータを使用したいユーザーに最適です。秘密鍵はコンピュータにローカルに保存されるため、高レベルのセキュリティを提供します。
デスクトップ・ウォレットには、多要素認証や暗号化などの高度なセキュリティ機能が搭載されていることが多いです。また、オープンソースであることが多く、ユーザーがコードを検証し、ウォレットの安全性を確認することができます。
しかし、デスクトップ・ウォレットはマルウェアやその他の脅威に弱い可能性があります。ウイルス対策ソフトウェアを使用し、信頼できるソースからのみデスクトップ・ウォレットをダウンロードして使用することが重要です。
4. Web3ウォレットのセキュリティに関する考察
1) 秘密鍵の保護
Web3ウォレットのセキュリティで最も重要な点は、秘密鍵を保護することです。デジタル・アセットの安全を確保するために、ハードウェア・ウォレットなど、秘密鍵を保存するために強力な暗号化を使用するウォレットを使用するようにしてください。さらに、秘密鍵は決して誰とも共有せず、必ず安全な場所にバックアップしてください。
2) ウォレットのバックアップと復元
万が一、秘密鍵を紛失した場合、バックアップ・プランを用意しておくことが重要です。ほとんどのWeb3ウォレットには、ユーザーがウォレットを復元し、失われたデジタル・アセットを回復することを可能にするバックアップ・フレーズまたはシードが付属しています。これらのフレーズを必ずメモし、安全な場所に保管してください。
3) 詐欺の見分け方と回避方法
ブロックチェーンでは、他の新興技術や産業と同様に、善意で行動せず、ユーザーを搾取しようとする悪質な業者が存在します。このような詐欺の被害に遭わないためには、信頼できるウォレットを使用し、怪しいウェブサイトやアプリケーションに秘密鍵やその他の機密情報を入力しないようにしましょう。
5. Web3ウォレット導入における摩擦
Web3ウォレットの普及における摩擦は、いくつかのユーザー・エクスペリエンス(UX)の問題に起因しており、ウォレットの普及を妨げています。複雑なシード・フレーズは、通常12から24の単語で構成され、Web3ウォレットのバックアップとして機能し、ユーザーが資産を回復することを可能にします。しかし、これらのフレーズを安全に保存し、バックアップすることをユーザーに依存することは、単一障害点を生み出し、ユーザビリティに大きな課題をもたらします。
さらに、ハードウェア・ウォレットは安全性が高いものの、その複雑さと学習曲線の険しさから、参入障壁となっています。これらの問題に対処するため、アカウントの抽象化(アカウント・アブストラクション)やソーシャル・リカバリーといったソリューションが登場しています。アカウントの抽象化は、Web3エコシステムに新規ユーザーをオンボードする際の摩擦を減らす、プログラム可能で自己完結型のアカウント(「スマート・アカウント」)を導入することで、ユーザーのウォレット・インタラクションを簡素化することを目的としています。
さらに、ソーシャル・リカバリー方式は、ユーザーのデバイス、ソーシャル・ログイン・プロバイダー、リカバリー方式に秘密鍵を分割し、安全に保存します。これにより、Web2認証の長所とWeb3認証のセキュリティとプライバシーを組み合わせた、ユーザーフレンドリーなオンボーディング・エクスペリエンスを持つノン・カストディある型Web3ウォレットを実現することができます。UXの問題に対処し、アカウントの抽象化やソーシャル・リカバリーのようなソリューションを提供することで、Web3ウォレットはよりアクセスしやすくなり、Web3スペースへの新規参入者の間でより広範な採用を促進することができます。
6. 分散型ウェブにおけるWeb3ウォレットの役割
ブロックチェーン技術と暗号通貨が普及し続けるにつれ、Web3ウォレットは金融インフラにおいてますます重要な役割を担うようになるでしょう。Web3ウォレットは、暗号通貨、NFT、その他のデジタル・アセットを保持するために極めて重要であるため、Web3への参加を検討しているすべての人にとって不可欠なアクセスポイントです。
元記事:https://www.algorand.foundation/news/what-is-a-web3-wallet
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