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ZTLment:ブロックチェーンで構築された欧州初の決済機関



ZTLment:ブロックチェーンで構築された欧州初の決済機関


ZTLment共同創業者兼CEOマッズ・ストルベルグ=ラーセン(Mads Stolberg-Larsen)氏とのQ&A



スマートコントラクト・ソフトウェア企業であるZTLmentは、10月に大きな節目を迎えました。ヨーロッパで初めて、ブロックチェーンの上で完全に規制された決済を運用するためのライセンスを取得したのです。ZTLmentは現在、同社のスマートコントラクト・ソフトウェアを使用して、ブロックチェーン・レール上でユーロをピアツーピアで移動させることを、完全なコンプライアンスの下で承認されています。


ZTLmentが選択したブロックチェーンは?アルゴランドです。


このライセンスの規制上の意味は、EUの監督当局がブロックチェーン技術を受け入れる意思があることを示すものであり、重要なものです。また、スマートコントラクトのワークフローを構築したいサプライチェーンや貿易金融の革新的なプレーヤーとZTLmentが提携するための扉を無数に開くことになります。


ZTLmentの共同設立者兼CEOであるMads Stolberg-Larsen氏に、このマイルストーン達成までの道のり、技術に関する詳細、そしてもちろんアルゴランドが彼らのブロックチェーンに選ばれた理由について尋ねました。



ライセンスについて詳しく教えてください。


私たちは、ヨーロッパ初の決済機関をブロックチェーンで構築し、規制上のブレークスルーを達成しました。ライセンスの確保は、分散型システムを通じてフィアット通貨(Fiat Currency)を動かすことが可能であることをEUの監督官庁が認めていること、そしてヨーロッパのオープン・バンキングの枠組みであるPSD2(Payment Service Directive 2:欧州決済サービス指令第二版)に関してエンドツーエンドのコンプライアンスが存在することを意味しています。



今後の展望をお聞かせください。


最終的な目標は、国境を越えた貿易を摩擦のないものにし、1.7兆ドルの世界的な貿易金融ギャップを埋めることです。私たちは、所在地や規模に関係なく、どんな企業でも一流のファイナンス・ツールやリソースにアクセスできるようになるべきだと考えています。



ZTLmentとは?


ZTLmentは、クラウド上のデータとブロックチェーン上の取引実行を組み合わせたスマートコントラクト・ソフトウェア・プラットフォームです。私たちは、既存のビジネスシステムやプラットフォームとフィアット通貨をオンチェーンでつなぎます。私たちの技術により、企業は(1)ファイナンス業務の自動化、(2)流動性の向上、(3)ビジネス・ワークフローの信頼性と透明性の向上を実現することができます。



ZTLmentはどのように機能するのですか?


ZTLmentのサービスでは、スマートコントラクトが重要な役割を担っています。先に述べたように、私たちのスマートコントラクト・ソフトウェアは、クラウドからのデータとブロックチェーン上の取引実行を組み合わせています。ビジネス・ワークフローの開始時に契約が締結されると同時に、ワークフロー内の任意のマイルストーンに基づいて、ソフトウェアが支払いやファイナンシングの引き金となることができます。そして、数秒後に資金が自動的に移動します。すべてにおいて、完全な規制遵守が組み込まれています。



ZTLmentのユニークな点は何ですか?


ZTLmentは暗号通貨や未規制のステーブルコインを取引しているわけではありません。ブロックチェーン上でフィアット通貨を移動させるのです。



なぜフィアットなのですか?


まず第一に、ヨーロッパの既存の規制下でのステーブルコインはクリプトです。


クリプトは法律上では資産であり、マネーではないので、これはあらゆる種類の規制上の不確定要素をもたらします。つまり、事実上、ステーブルコインやクリプトを使う場合は、「テーブル」や「椅子」で取引を決済していることになります。


私たちは、VAT会計や 「テーブル」や「椅子」での取引決済をどのように行うかを考えることに時間を費やしていませんし、今後もそうするつもりはありません。その代わり、PSD2では銀行預金や現金と同じように「資金(funds)」として規制されている電子マネー(e-money)を使っています。



MiCA(Markets in Crypto-Assets:暗号資産市場規制案)についてはどうですか?


いい質問ですね。この分野に携わる人は知っていると思いますが、近々施行されるMiCA規制によって、ステーブルコインの規制状況が変わる可能性があります。この場合、ヨーロッパの企業や市民が利用するために、ステーブルコインは電子マネーとして規制される必要があります。しかし、その二次的な影響として、電子マネーはPSD2の対象となります。それを解決するようにしました。



ブロックチェーンはTradFiのどのような問題を解決するのでしょうか。


従来の決済インフラは、取引の決済を実行するために、中央集権的で信頼できる事業者に依存しています。この中央の事業者は、資金が一方の当事者から他方の当事者へ安全に伝達されることを保証する、単なる仲介者に過ぎません。これに対し、ブロックチェーン技術では、アルゴランドのピュア・プルーフ・オブ・ステーク(PPoS)などのコンセンサス(合意形成)メカニズムが用いられ、ネットワークの安全性とネットワーク・ノードの正常な動作を保証しています。ブロックチェーンは取引を「分散化」するため、第三者を介して検証する必要がありません。その代わり、コンセンサス・メカニズムによって検証されます。


従来の決済では、最終的に決済するまでに、データセンター、決済インフラ・システム、追加の機関を経由する必要があります。このプロセスは、関係する機関によって数日から数週間かかることがあり、これらの異なるシステムとやり取りするための標準化された方法は存在しません。ブロックチェーン技術では、検証は数秒しかかからず、第三者は関与せず、お金と資産のデジタル・フォーマットが標準化されています。



企業にとって何が必要なのでしょうか?なぜ企業が関心を持つ必要があるのでしょうか。


まず、統合され、自動化されたワークフローの構築を支援することができます。スマート・コントラクト・ソフトウェアを使用することで、ビジネス・ワークフローにおける大きなマイルストーン(例えば、「商品の受け取り」や「プロジェクトの50%の納品」など)を代金の支払いに直接結びつけることができ、日々の財務業務において新しいレベルの効率性を達成することが可能になります。


第二に、従来のサプライチェーン・ファイナンスやダイナミック・ディスカウントのソリューションが可能にするよりも、はるかに柔軟な方法で流動性を解放することができます。請求書という一枚の紙を基にしたバイナリーではなく、現実のビジネス・イベントを基にしたデータ駆動型にすることができるのです。


最後に、信頼性と透明性を高めることができます。買い手と支払い担当者は、スマートコントラクト・ソフトウェアに資金をロックすることができ、売り手はお金がそこにあることを「見る」ことができるようになります。そうすると、売り手は、納品すればお金がもらえることを確認することができます。一方、買い手と支払い担当者は、売り手が納品しない限り、お金を払わないことを確認することができます。



両者がZTLmentに参加したり、ブロックチェーンに乗ったりする必要があるのでしょうか?


一言で言えば、「いいえ」です。ZTLmentで取引を行うには2種類の方法があります。


  1. 両者がZTLmentまたは他の誰かが提供するウォレットを持っている場合、当社のスマートコントラクト・ソフトウェアを介してピアツーピアで資金をルーティングすることが可能です。

  2. または、私たちの電子マネー・パートナーであるMoneriumを通じて、受取人の銀行口座に自動的に送金されるように、私たちのスマートコントラクト・ソフトウェアを構成しています。



なぜアルゴランドなのでしょうか?


私たちはブロックチェーンにとらわれず、レイヤー1の開発を密接に追っています。とはいえ、アルゴランドはZTLmentのような規制された企業向けアプリケーションに最適な技術的特徴を備えています。例えば、そのパーミッションレス、ピュア・プルーフ・オブ・ステーク(PPoS)合意形成メカニズムにより、ブロックチェーン上で高速、安全、安価に取引することができます。また、私たちはいくつかの理由でアルゴランド仮想マシン(AVM)を気に入っています。AVMは、例えばイーサリアム仮想マシン(EVM)と比較して、高いトランザクション出力を処理することができます。また、計算能力とエネルギー消費の面でも効率的です。さらに、プログラミング言語TEALは、ビジネスシーンで重要な柔軟性よりも安全性を優先した設計になっています。さらに、アルゴランドは暗号技術で最も優秀な頭脳の一人であるシルビオ・ミカリによって発明され、強力で優秀なチームが未来に向けてリードしてくれているのです。



ZTLmentの次の目標は何ですか?


ヨーロッパの規制当局がこのライセンスを発行したことは、私たちやブロックチェーン業界全体にとって大きな一歩です。ですので今、私たちはこれを有効に活用しなければなりません。最近、農家に特化した脱炭素プラットフォームであるAgreenaとの提携を発表しましたし、多くのプロジェクトが進行中です。



ZTLmentのMoney API、スマートコントラクト機能、最新ニュース、チームについてもっと知りたい方は、こちらの公式ウェブサイトをご覧ください。



注:欧州の決済規制には「フィアット通貨(Fiat Currency)」という言葉は存在しません。存在するのは、現金、電子マネー、銀行預金だけです。この3つは「フィアット通貨」として同じ意味に使われています。


規制面について気になる方は、デンマーク金融監督庁のZTLmentに関する公開市場オリエンテーションをこちらからご覧いただけます。



元記事:https://medium.com/algorand/ztlment-europes-first-payments-institution-built-on-blockchain-b76ce2007b74

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