クロスチェーン・エコシステム・ファンドのテーゼ
by ボーダーレス・キャピタル
2018年からWeb3のエコシステムをベンチャー支援する会社として、ボーダレス・キャピタルは多くのインサイトを培ってきました。私たちは、先行するVCファンドを通じて、Algorand、Helium、DePIN（別名EdgeFi）のエコシステム全体で200以上のプロジェクトに投資してきました。さらに、ボーダレスのマネージング・パートナーは、ポリゴン・ベンチャーズとアバランチの「ブリザード」エコシステム・ファンドに個人的に資本を投下してきました。
これらの投資を通じて、私たちはいくつかの勝利と失敗を経験しましたが、重要なことは、ブロックチェーン・エコシステムがどのように運営されているか、その成長痛やさまざまな段階で直面する課題について多くを学んだことです。私たちは、ブロックチェーン・エコシステムの構築者や創設者がこれらの力学をどのように操り、持続可能なビジネスや暗号プロトコルを構築し、これらの外部性に強くなるようにすべきかという洞察を得ることができました。とりわけ、これらの教訓の中で際立っているものがあります：
1つの孤立したエコシステムがWeb3市場全体を制することはなく、資産とアプリケーションは特定の技術スタックに制約され、閉じ込められるべきではありません。
テクノロジーが進化するのと同じように、私たちも進化します。私たちは思考を進化させ、最初の論文をさらに強化しています。私たちは、より広いクロスチェーンの採用から生まれる、より大きな地平を見据えています。私たちの場合：
Web3エコシステムには断片化の問題がある
業界では、エコシステムが注目を集め、開発者やフォロワーを獲得するために、技術的な優位性を強調する傾向があることが分かっています：
「私たちのチェーンは、利用可能なクラス最高の技術です」
「私たちは、ユースケースx、y、zのためにこのブロックチェーン技術を構築しました」
これらの中には技術的にも事実的にも正しいものもありますが、このモデルは開発者やフォロワーをアンバサダーやアドボケイト（別名「マキシ」）に変えるための一時的な戦略として機能することが分かっています。残念ながら、このアプローチは徐々にそのエコシステムの価値を孤立させ始めます。
この短命なアプローチの問題は、特定のエコシステムの上にデプロイしているビルダーの真の潜在的なTAM（Total Addressable Market：獲得可能な最大市場規模）を不必要に制限してしまうことです。
「ピンク・クラウド」の瞬間が過ぎると、創業者や開発者は、新しいユーザーを獲得できない、あるいはオンチェーンに十分な価値がないためにTVLが成長しない（これは弱気市場によっても増幅される）ため、1つの単一かつ独立したブロックチェーン・エコシステムで作業しても実際にはうまくいかないことに気づき始めます。その時、人々は心配し始めるのです。しかし、その時点では、ピボットや拡大、生き残るための別の方法を見つけるには遅すぎ、KPIやトラクション（通常は横ばいか低下している）は、VCや投資家からの関心を低下させる傾向にあります。
これが、業界全体にとって断片化が問題である理由です。この問題をWeb2の文脈で説明すると、GmailユーザーがOutlookユーザーにメールを送れなかったり、InstagramユーザーがTwitterなどの外部プラットフォームでコンテンツを再シェアできなかったりすることを考えてみてください。クレイジーで不自然に聞こえますが、それが今日のクリプトでありWeb3なのです。
私たちは、業界として進化していると信じています。そして、ボーダレス・キャピタルでは、Web3のネイティブ機能であるべき、この新しいクロスチェーンの未来を築くのを助けるために、重要な役割を果たす準備が整っています。
なぜクロスチェーン・エコシステム・ファンドなのか
クロスチェーン・エコシステムは、孤立したブロックチェーン・コンテナの限界を超え、開発者、構築者、起業家が、他のすべての暗号資産にまたがるユーザーの関係を集約し、垂直方向ではなく水平方向に互換性を持たせることで価値を構築することに集中できるようにする唯一の方法です。また、ブロックチェーン・アプリケーションや暗号プロトコルが、市場の潜在力を最大限に引き出し、他のチェーンに存在する流動性や価値を解き放つという真のビジョンを持つことができるのは、この方法だけです。結局のところ、クリプト市場は現在1兆ドルの時価総額を持ち、今後数年で10兆ドルに達する勢いなのです。
私たちは、このクロスチェーンの未来（あるいは現在...）に投資したいのです。カテゴリーをリードする資産、製品、アプリケーション、サービス、インフラ、プロトコルを構築する信念を持つ創業者やチームに投資したいのです。スマートコントラクトのプログラミング言語ではなく、市場やユーザーを第一に考えるチームに投資したいのです。
しかし、そのエコシステムの枠を超え、TAM、ユーザーベース、市場の規模を拡大するためには、明確なロードマップ、予算、考え方を持つことが不可欠です。
私たちは、クロスチェーンのエコシステムを促進・実現する技術のスケーラブルな採用について調査・評価しており、その一部には投資も行っています。今のところ、Wormholeは、純粋に「主流」と定義できるクロスチェーンの主要なユースケースを促進するリーダー的存在であるように思えます。
前途をリードする
Wormholeは、UniswapのBNB Chainへの指定ブリッジとなる投票を勝ち取った。
この投票は、技術的には「シグナリング」提案であり、その可決によってWormholeが自動的にBNBチェーンに設置されるわけではないことを意味します。
www.coindesk.com
第2位のステーブルコインであるUSDCは、最初に接続されるブリッジがWormholeであるCross Chain Transfer Protocol（CCTP）を導入しています：
Coinbaseの新しいLayer2技術「Base」は、Optimismブロックチェーンに基づくOP Stackを使用しており、Wormholeをローンチパートナーとしてクロスチェーン相互運用で協業しています：
Facebook / Libra / Diemプロジェクトのラボから生まれた次世代ブロックチェーンの中でも特に人気の高いAptosとSuiは、クロスチェーンのMoveエコシステムの規範となるソリューションとしてWormholeを選択しています：
Threshold DAOは、Wormholeを利用して、tBTCを真に分散化され、ネイティブにコンポーザブルなクロスチェーンである正規のBTC資産とし、26000tBTCでローンチすることを決議しました。
Wormholeは、ブロックチェーンの強さはチェーンの分離ではなく、コラボレーションから生まれると信じています...私たちボーダレス・キャピタルも同様に強く信じています。
私たちは、創業者やチームにとって、他のエコシステムに拡大するプロセスは、コストと時間がかかり、急な学習曲線になる可能性があることを認識しています。効率的で効果的な方法は、Wormholeのようなミドルウェア技術にゼロからネイティブに接続することで、1）他のチェーンとの摩擦のないコミュニケーション、相互運用性、複合性を可能にし、2）特定のブロックチェーンの境界を越えてユーザーにサービスを提供し資産や価値と対話することができます。
クロスチェーンの標準化へのシフトは、Wedb3の断片化からWeb3の集約化、そして特定の技術スタックからの抽象化へと向かうために不可欠だと考えています。
この動きは、すべてのクリプト・プロトコルやブロックチェーンのエコシステムにわたってユーザー、資産、体験、アプリ、開発者を集約し、摩擦を減らすことで価値を引き出すと考えます（web2に似ています）。構築者は、異なるチェーンやエコシステムに乗り込んでナビゲートすることなく、よりユーザー中心のアプリケーションを構築することができ、その資産やアプリケーションは、どのチェーンでも即座に利用でき、アクセスでき、コンポーザブルになり、TAMを即座に最大化することができます。私たちが支援し、構築しようとしているクロスチェーンのエコシステムに参加することで、これを現実のものとする世界中の創業者やチームと協力できることは、とてもエキサイティングです。
ファンドの支援者
私たちは、クロスチェーンの未来に対する私たちのビジョンを共有し、このファンドを支援してくれるティア1ブロックチェーン・プロトコル、インフラストラクチャ・プロバイダ、市場・取引会社、機関投資家がいることを光栄に思っています。
Web3の未来はボーダレスであり、クロスチェーンの未来を構築するために制限や制約、摩擦があってはならないとお考えの方は、ぜひ hello@borderlesscapital.io までご連絡ください。
元記事：https://medium.com/borderless-capital/cross-chain-ecosystem-fund-thesis-20fbd59d2f12
Comments